2022年10月5日水曜日

『海街ダイアリー』と『詩歌川百景』(ともに吉田秋生さん)に泣く日々

 

漫画が好きです。


本の情報を載せることも多いこのブログ。

なのにこれまで漫画については触れていなかったように、ふと思いました。


吉田秋生(あきみ)さんの『詩歌川百景(うたがわひゃっけい)』。山間の温泉旅館を中心として、多彩な登場人物たちの生い立ちや思いが交錯する、わりと複雑なストーリー。次巻はまだかな〜、と思いながら、既刊2冊を再読したら、それと物語が繋がっている、吉田さんの前作の、『海街ダイアリー』シリーズを、久しぶりに再読したくなりました。


すごく好きな作品で、何度も読んで、是枝監督による実写映画も複数回観ているので、流し読み程度のつもりでしたが、、、、面白い。。


結局、随所で感じ入り、ときに大泣きしつつ、ゆっくりと、読み進めています。


面白い漫画に出会えた喜びと、日常にある、でも掬って見つめることの難しい、情景や心の動きを、表現して娯楽として味わわせてもらえていることのありがたさ。


そして今回の読書体験では、自分がそれら登場人物たちの心の機微を、自分の中にもある(あった)と分かる強度の共感をもって、かつてよりずっとありありと味わえていることに、、、、なんていうか、、、自分の成長を感じたのです。


自分としては、ただ大人になったからといって捉えられた訳ではない、「双極性障害」というややこしい病を得たことをきっかけにして見つめ始め、少しずつ蓋がとれ、あるいは視界が開け、中年になって分かりつつある、様々な思い。自分を、自分の生い立ちを、身近な人との関係を、したくなくても見つめ直さざるを得なかった、幾多の苦しい時間を経て、哀しみとともに知っていった、機微。


吉田秋生さんは代表作のひとつ『BANANA FISH』を描く過程で、物語の主要な舞台であるニューヨークを、(ネットでちゃちゃっと映像を見られる時代ではまだなかったにもかかわらず)一度も訪れることなく、「これぞニューヨーク!」と読者が感じる景色を空気感まで込みで描き切ったと、、、どこかで読んだことがあります。(『カリフォルニア物語』における、カリフォルニアについての逸話だったかもしれません。。すみません)


人の心理も、そういう、いわば想像を逞しくすることで、知り得たのかな〜。それとも自分の中にどこまでも潜り、普遍的にある小さな声たちに耳を傾けて得た、多面的な思いを、言葉と絵にして、多彩な登場人物たちに、振り分けたのかな〜



原稿作業の休み時間にも我慢せず読みましたが、今日の作業を一段落したので、これからまた、続きを楽しみたいと思います。


たくさん泣いて、今夜も内側から、楽しく浄化です〜


(実の両親を亡くした少女「すず」が、異母姉妹に引き取られ、鎌倉を舞台とした物語が始まります)


(すずが鎌倉に越すまで住んでいた、山形の山間の小さな温泉街が舞台。すずの義理の弟たちや、すずを知る街の人々が、鎌倉とはまた違った濃さと質の関係をくりひろげます)

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